どうやら、恋ってやつは、自覚したら抑えがきかないらしい。



「……桜井には黙っててくれよ」

「はは、了解」



今更否定しても無駄だと観念し、俺は口を開いた。



「アイツは別に、彼女なんかじゃない。……でも、友達って感じでもなくてさ。距離感が巧く掴めなくて」

「……」

「アイツはいつの間にか、俺のど真ん中にいて、真っ暗だった俺の世界を明るく照らした」

「……うん」

「そのときそのときの選択に迷いなんてなくて、いつも真っ直ぐに向かってきてくれて。そんなアイツに……多分俺は、憧れたんだと思う」



強くて、芯がぶれなくて。

アイツは、俺がそうでありたかった姿。



「アイツなら、進路のことだってきっと、こんな風に迷ってないと思うんだ。今出来る最善を見つけて、そこに一直線に進んでく」