答えると、桜井は小さく笑う。



「じゃあ俺とお前、お互いに最初で最後の後夜祭やな」



グランドのど真ん中で激しく燃える炎が、桜井の顔をぼんやりと照らす。

祭りの後ってのは、どうしてこうも寂しくなるんだろう。



「あ、いたいた。奏多!」



背後から名前を呼ばれた桜井と同時に振り向くと、小走りでこちらに向かってきているクラスメートの姿を捉えた。

写真撮影のときに、笑いを誘ったムードメーカーだ。

確か……野球部だった筈。



「女子が呼んでたぞ」

「え、まじか。ちょっと行ってくる」

「ん」



駆けて行った桜井と入れ違いに来たクラスメートの名前は、辛うじて覚えていた。



「客引きお疲れ、綾瀬」

「ん……あぁ、サンキュ。相川も、お疲れ」

「おう!」