桜井の向かいに俺も腰を下ろす。

周りは変わらず騒がしい筈なのに、この空間だけしじまに包まれたような、そんな感覚になった。



「……」

「……」



何もしないこの時間を、苦痛に思うことはない。

寧ろ、今まではこれが普通だった。



「……なぁ、桜井」

「……何」

「……腹減った」

「……なんか買ってきーや」

「……」

「あ、でもたこ焼きはあかんで。昨日食べたけど、焼くんめっちゃ下手」

「……流石関西人」



会話をしながらも、お互いに重い腰を上げる素振りは見せない。



「今日の夜はグランドでキャンプファイヤーやるんやっけ」

「……あぁ。キャンプじゃねえけどな」

「細かいわ」