「ちゅーこっちゃ。意地でも戻らせへんで」

「……わかったよ」



俺の返答を聞いて、桜井は満足そうに笑った。





それから2時間程が過ぎ、漸く交代の時間になった。

お化け屋敷は、遠くから見てもわかるくらい大盛況。

教室の中から悲鳴が聞こえてくるもんだから、俺達は顔を見合わせて笑ったよ。



控え室である空き教室に入ると、後半からが当番のクラスメートが慌ただしく駆け回っていた。

その中に、服を着替え、腕や頬に傷メイクをした芹沢の姿を見つける。



「おっ、奏多!前半お疲れー!」

「ありがとー!まっつんは当番今から?」

「そうそう!もうちょっと回りたかったよー」



桜井が他のヤツと会話を始めたのを確認して、椅子に座って化粧の確認をしている芹沢に近付く。



「……おい」

「……っ⁉︎あ、綾瀬君……⁉︎」

「……今から?当番」