「……」

「けどお前はそれに応えてくれたよな、……めっちゃ冷たかったけど。だから俺、絶対コイツと仲良くなったろって思った。他のヤツ等が出来ひんくても、俺だけは、って」



桜井の表情が、ふっと和らぐ。



「もっと仲良くなりたい──そう思えるヤツが、引っ越してきて出来ると思わんかってん」

「……っ」

「だから」



もしかしたら──もしかしたらだけど、桜井も不安だったのかもしれない。

底抜けに明るい桜井は、大阪でも周りのヤツ等に好かれていたに違いない。

いきなり知らない場所に来て、何もかも0からのスタートで。



「楽しもや、今を」



なのに桜井は前向きに物事を考える。

過去に囚われていた俺とは違って、“今”を精一杯生きようとしてる。

そんな桜井が、俺は眩しい。