「西校舎の三階でお化け屋敷やってんでー!イケメンも美女もおるから、みんな来てな!」



あぁ、この笑顔に一体何人女が心を掴まれるんだろう。

側から見ていて、結構おもしろい。



「見て、あの吸血鬼!」



……ん?

もしかして、俺のこと?

声のする方へくるっと顔を向けると、外部の客だろうか、私服を着た女が俺を見ていた。



「……っ!」

「……?」



あれ、顔逸らされた。

……よくわかんね。



「おい、千速」



道行く人に笑顔を振りまいていた筈の桜井が、いつの間にか俺の目の前に立っていた。




「……何」

「別に声出せとは言わんけどさぁ、せめてその仏頂面はやめろやー」

「仏頂面って……普通の顔だけど」

「元々寡黙そうな顔してんもんなぁ、お前」



けど、と、呆れた様子の桜井に付け足された言葉。



「そんなんじゃお客さん来てくれへんでー」