「卒業まであんまり時間ないけどさ。男子も女子もみんな、綾瀬君ともっと話したいって思ってるよ」



ここにも、いたんだ。

俺のことを真っ直ぐに見つめていてくれる人達が。

学校に来ればいつも当たり前にいて、同じ授業を受けるだけの存在だって思っていたのに。

相手はそうじゃなかった。



「……ありがと」



今更だけど、いいかな。

明日から、ちゃんとみんなの名前覚えられるように努力するからさ。



「千速、時間!客引き行くで!」

「……あぁ」



いいかな。

ここにいていいんだって、信じても。





擦れ違う女達が、フランケン姿の桜井に黄色い声をあげる。

それを笑顔で受け止め、ちゃんと宣伝もする桜井は、きっとこの状況に慣れている。