俺の言葉に、桜井は何度も何度も首を縦に振った。

そんな桜井を見た女達は、口元を押さえてクスクスと笑う。



「あはは、桜井君嬉しそう」

「仲いいんだねぇ」

「……別に」



俺が素っ気なく返したことを気にする素振りも見せず、女達は話を続ける。



「私達、桜井君に感謝してるんだよ。桜井君がうちのクラスに来なきゃ、こんな風に綾瀬君と話すことも、きっとなかった」

「え……」

「桜井君が来てからの綾瀬君、何だか柔らかく見えるんだ。前までだったら、こんなこと出来なかったよ」



初めて知った。

何の関わりもない筈だったクラスメートが、そんな風に思ってくれていたなんて。