なんでこんなことになったんだ。

本来なら今日は、昨日と同じように、登校していつもより少しだけ短い担任の話を聞いて裏方の仕事をして、時間が来れば桜井と適当に学園祭を回る筈だった。

だったのに──何これ?



「きゃーっ、やっぱり似合う!」

「綾瀬君を裏方に回したのは間違いだったねー。こんなにキマるなら、昨日も着てもらえばよかったのに」



無理矢理吸血鬼の格好をさせられた俺を前に、クラスの女達は好き勝手言う。

眉間に皺が寄っていくのを感じながら、俺は隣で腹を抱えて笑っている桜井を睨んだ。



「お前……何のつもりだ」

「んな睨むなや。似合ってんで?」

「……そう思うならまず笑うのやめろよ」