出来上がった料理を前に唖然とする美生を置いて、席に着く。

それでも尚立ち尽くす美生に、俺は思わず苦笑いを浮かべた。



「早く食べねぇと冷めるぞ」

「そ、そうだけど……!」

「家事全般任せるって条件でここに来たから美生なりに負い目感じてんのかもしんねぇけど、この際、もういいんじゃねぇか?」



俺の言葉に、美生は大きい目を更に見開いた。



「干渉しないってルールも、今はもうないに等しいんだしさ」



歩み寄り、距離を縮めることは、悪いことじゃないと思う。



「分担してやっていけばいいじゃねぇか。どうせ、まだ帰るつもりはないんだろ?」

「……っ」



それは何気なく言った言葉で、何気ない返事が当たり前に返ってくるんだろうと思ってた。

だけど、そんな俺の予想とは裏腹に、美生は力なく笑うだけだった。