ヒラヒラと手を振って立ち去ろう──としたとき。



「待って!」



ぐっと、シャツの裾が掴まれた。

その力でバランスを崩してしまう。



「きゃっ!」



高い悲鳴を上げた彼女を──咄嗟に庇っていた。



「ってぇ……」

「ご、ごめん……!大丈夫⁉︎」

「……大丈夫じゃねっつの」



抱き留めた彼女の下敷きになり、左肩を強く打ってしまった。

とんだ災難だ。



「なんなんだよお前……」



ただでさえ進路のことでイライラしてるっていうのに。

怒りを露わに、彼女を睨み付ける。

普通の女なら、大抵はこれで身を引くだろう。

だけど──