平然と言う俺につまらなそうな顔をして、桜井はじとっと俺を見る。



「おらんの、彼女とか」

「……いるわけねぇだろ、めんどくせぇ」



先に校舎を出ると、その後ろを小走りでついてくる桜井。



「好きな子は?」

「……」

「気になる子とかも!?」



あーもう。

食い下がる桜井に苛立ち、くるりと振り向いた。



「いねぇって言ってんだろ。そもそも、……好きとかよくわかんねぇんだよ」



中学時代、告白されてなんとなく付き合ったことならある。

だけど、忙しくて連絡も碌にとらないでいたら、あっさり振られた。

“私のこと好きじゃないでしょ”、そんな言葉と共に。



「……逆に桜井はいねぇの、そういうヤツ」

「俺?今はおらんなぁ」