「芹沢も……お疲れ」

「……!」

「……また、明日な」



くるりと体の向きを変え、扉に手を掛ける。

そんな俺の背中に、



「うん、また明日!」



芹沢は明るく言葉を投げかけた。



“また明日”、なんて。

こんなこと、俺が言うようになるなんて思ってなかったな……。



「よ」



昇降口に着くと、先に靴を履き替えた桜井が、下駄箱に身を任せて俺を待っていた。



「……お待たせ」

「全然。話せたん?」

「……何を」



桜井に背を向け、上靴からローファーに履き替える。

なんだかんだで2年半履き続けたローファーは、すっかり俺の足に馴染んでいた。



「何って……そらまぁ、色々?」

「……言っとくけど、お前が思うようなことは何一つねえからな」