「お……終わったー!」



クラスメートの声が教室に響くと、あちこちから拍手が沸き起こった。

俺の隣でも、桜井が嬉しそうに笑っている。



その理由は、今この瞬間、文化祭の全ての準備が終わりを迎えたからだ。



「っしゃー!後は明日からの本番を楽しむだけだな!」

「超楽しみ!」



窓の外はもう既に暗くなっているというのに、帰るようなやつは1人もいなかった。

かく言う俺も、この場所にいるわけで。



「楽しみやな、千速!」

「……さぁな」



俺の対応にすっかり慣れた桜井は、こんな風に返しても何も言わない。



「明日一緒に回ろな、千速!」

「……嫌って言っても無駄なんだろ」

「はは、わかってるやんか」