そう言った美生は、服の袖で涙を拭った。

な、なんだよ、それ……。



「……お前は俺の母親かよ」



何だか照れ臭くて、思わずそう言ったけど……美生はクスクスと笑っていたから、きっと全部お見通しだったんだろうな。





風呂を済ませ、入れ替わりで美生がリビングを後にする。

そのタイミングで、俺は部屋の隅に置いてあった鞄から10枚の原稿用紙を取り出した。



「……うげ」



改めて見ても、すっげえ量。

机に向かうのも億劫になってきた。



「……でも、やんねえと何言われるかわかんねえしな」



やれ、俺!

自分に強く言い聞かせ、俺は重いペンを取った。