俺がもし、朝、言葉を返してなかったら。

こいつと関わることを拒んでいたら。

こいつは俺と関わろうとしただろうか。

こんな言葉をくれていただろうか。



これがもし、一歩前へ歩み出すということに繋がるのだとしたら、



「……考えとく」



それは案外、簡単なことなのかもしれない。





──かと言って、生活の全てが劇的に変化するわけでもなく。



「……」

「……」



文化祭の準備は、相変わらずこんな感じで、黙々と作業する俺達も健在だ。

俺の謹慎中も芹沢はかなり進めておいてくれていたらしく、完成までもう一息といったところ。

殆ど芹沢が手掛けたと言っても過言じゃないくらい、俺は何も出来ていないような気がする。