いや、クラスメートからだけじゃない。

同級生や教師、終いには後輩からも、視線を注がれた。



「千速って有名人なんやなぁ」

「……は？」



帰り支度をしているとき、唐突に桜井がそんなことを言った。

あからさまに顔を顰める俺に、桜井はクスクスと笑う。



「他学年もわざわざ見に来てんねんで？」

「……それ、俺じゃなくてお前目当てだよ」

「今時、転校生なんか珍しいもんちゃうやろ」



そう言って、桜井はまたケラケラと笑った。



底抜けに明るい性格。

関西弁はあまり身近にあるものじゃないし、おまけに顔もいいとくれば誰だって気になるんだろう。

そんな桜井が、何故か一匹狼の俺と一緒にいる。



そりゃあ……何事かと思うよなぁ。



「……桜井」

「んー？」

「……短い高校生活楽しみたいんなら、俺と一緒にいない方がいいぞ」

「……なんで？」