理科室だと、班が同じになる小野寺 一が
声をかけてきた。

「ああ、今行くよ。」

 そう返事をして席を立った。
 まだ、昼休みまで三時間もある事を考える
と不意に欠伸が出た。




――――――――――――――――――――




き~んこ~んか~んこ~ん

 ようやく…そう…ようやく今日四度目の授
業の終わりを知らせるベルが鳴った。
 睡魔と言う名の魔物に抵抗しきったのだ。
 二限の理科の後、三限は音楽、四限は英語
だった。よくがんばった俺。
 しかし、あれだな。昼休みを迎えた途端、
眠気と言うのは吹っ飛ぶものだな。
 そう、学校生活における楽しみの一つ。昼
ご飯!……が……な…い?
 もう一度鞄の中身を探る。朝の行動を思い
出す。…結論は出ている気がするが、もう一
度鞄を探る。机の中を覗く。
 ……忘れた…仕方ない。購買に行くか…

ガタッ

 立ち上がりながら、財布の中身を確認。

 Question。
 50円玉一枚と10円玉二枚と1円玉一枚
で何が買える?
 Anser:パンの耳の袋を二つ。
 
 流石だぜ、俺。4時間耐えてこの仕打ちと
はな…。例えるなら、登山家が富士の山頂に
辿り着いた!と思った瞬間、置いた荷物が下
に落ちてってしまった時、とでも言おうか。
この後を乗り越えられやしない。
 しかし、パンの耳だけでも食べられるだけ
いいか。
 そんな事を考えながら、教室の戸に手を掛
けようかという、正にその時だった。

ガララッ

「うっぉおい!」

 突然戸が開き、俺は情けない声を出す。

「おっべんと~ぅ♪」
「WAWAWA忘れ物~♪」