窓を眺めながら、色々と物思いに耽ってい
ると、さっきまで忘れていた重要なことを思
い出した。
 そうだ。今朝のドタバタですっかり忘れて
いたけれど、今日は陵の家に寄らなきゃいけ
ないんだった。
 多分、さっきうちに泊まる泊まらないとい
う話をしていたから、その続きで、椛が伝え
てくれてると思うけど…。
 しょうがない。一応、二限の前辺りにあい
つ等の教室に行って見るか。
 俺の教室が12組で二棟の五階にあるわけ
で、椛と陵の教室は一棟の四階、7組なので
遠いっって言えば遠いけれども、まあ10分
もあれば何とかなるだろ。
 ただ、陵と話してると何時の間にか、時間
がもの凄い経ってるからなぁ…。
 昼休みにでもしようか……。

ガラガラガラっ ピシャ

 勢いよく、戸を開けて国語の先生が到着。
と、同時に

き~んこ~んか~んこ~ん

本鈴が授業の始まりを告げる。

「きり~つ。れ~い。」
「「おはようございます!」」

「はい、おはようございます。
では、出席を取るから返事して。
浅水~。」
「は~い。」

 国語係が号令を出し、生徒達が声を揃えて
挨拶をする。それに合わせ先生も挨拶し、出
席の確認に入る。
 先生は30代前半の女の先生。
名前は遠野芳子と言う。
 そして…国語係ってのは……なんだ、国語
科に関して、担当の先生と生徒のパイプ役み
たいなものか?
 ようするに、宿題集めたり、明日の授業の
持ち物を聞いたりする係だ。もちろん、各教
科ごとにそれぞれの係りがある。

「さて、今日は~」

そう言いながら,先生は国語の教科書をパ
ラパラとめくり,直ぐにその手を止める.

「え~今日から新しい所、『夏の葬列』に入
りま~す。宿題やってこなかった奴。とりあ
えず言い訳は聞いてやるぞ~」

 この先生は、新しい所に入る前に復習させ
る。例えば今回の『夏の葬列』だが、まず全
文の書き写し、感想文を書かせる。