《Kiko》





いつか終わりがくるってわかっていても、それはきっとまだまださきの話だってずっと思ってた。


だから、莉子がこんなにも苦しい思いをしてるなんて、全然わかってあげられなかったのかな……。



そう思いながら、ベッドで寝てる莉子の頬に視線を向ける。
ぬれた頬が悲しさを物語っていた。



あたしは莉子になにができるの?
莉子になにかしてあげられるの?



助けてあげたいのに、なにもできない自分に腹が立って仕方ない。


なんであたしじゃなくて、莉子なの。
……そんなこと、いつもいつも思ってた。



「希子、莉子はまだ寝てんの?」



ガラッと開いたドアのあとに、あたしの背後から春馬の声が聞こえて振り返る。



「うん、ぐっすり」

「外でも行く?」

「……うん」



春馬の言葉にうなずいて、病室を出る。