三吉くんのこと傷つけちゃったかなって。
三吉くんの笑顔を見たいって。


私ってば、未練がましい。



一度決めたことをやり遂げただけ。
ごく短い間、少しだけ恋をしてただけ。


三吉くんのことが好きだった。
優しくて暖かくて。



すごく、幸せだったーー。



「ねえ、やっぱり……三吉くんとなにかあったの? このごろ会ってないじゃん」



心配してそう声をかけてくれる希子に、なにも言わずに、ただ笑顔を浮かべた。


もし三吉くんと希子が同じ高校に通っても、『希子』って名乗ったことは、きっと希子がわかってくれるはず。


ただ、それに懸けるしかない。



それかちゃんと、手紙に残しておこう。
そう名乗った理由も、三吉くんの告白を断った理由も。


それはぜんぶ、悔いのないオワリにするために。




いつか、『私を好きになってくれてありがとう』って、三吉くんに言えたらいいのになーー。