「あのぉ…フードとってもらえませんか?」




「は?なんで」






だって今のところ声とピアスしか分かんないんだもん…



もっとこの人の表情がみたい…







「か、顔をちゃんと見たくて…」




「ああ」







フードを取ろうとその人は頭に手を伸ばした




が途中で何を思ったのか



ペタペタと自分の顔を触って一瞬フリーズしたかと思えば




「やっぱやめた」





と取るのをやめてしまった






「え?」




「やめとけ」




「どうしてですか?」




「どうしても」







さっきよりも深くかぶってしまい
どうしても見せてくれようとしなかった





そんなに見せれないほど怪我ひどいのかな




うーん残念






「あんたももう大丈夫だろ、俺も平気だから」





「そうですか…
では、お大事に」





「ああ、あんたも帰りに思い出し泣きとかすんなよ」





「だ、大丈夫です!
私泣かないって決めてるんで!」





「は?さっきおもっくそ泣いてたじゃん」





「う……あ、明日!
今日は泣いちゃったけど明日は泣きません!」





「へぇ〜、まぁ健闘を祈るよ
じゃあ、また会えたら学校で」






ニヤニヤしながらそう言うとパーカーさんはその場から立ち去っていった






『また会えたら』か

結局顔もちゃんと分からないままだったけど…

唯一分かるのは、低くて少しハスキーがかった、耳に残るあの声と口元のピアスだけだったけど…



また会えるかな…?

同じ学校って言ってたし案外簡単に会えたりするかも







このあとまさかあんな事になるなんて

この時の私は全く予想もしていなかった