「てゆーか、金ねーんだったら店くんなよ。

俺も、仕事なんだよね。

取りあえず来月いっぱい待ってやっからちゃんと全額かえせよ。

なんでも仕事あんだろ!!」



何日か前に店で会った時は、

そこがホストクラブという場所じゃなければ

恋人同士みたいにしていた女に俺は冷たくそう伝えた。


その子は、急に顔をうつむけると肩を震わせて泣きだした。



(うっざ!!)


この仕事をしているとこんな光景はよくあること。

嘘泣きなのも同情をかいたいだけなのもすぐに見破れる。



(あ~あお前の泣き顔なんて見たくね~よ)



そんな風に冷酷に見ている俺の横で突然


優がその背の高い椅子から必死で足を伸ばして慎重に降りると


その子の側にまわり


手を伸ばしてその子の背中をトントンと叩いた。



「ドコガ イタイノ?ナカナクテ イイヨ」


その子の顔を覗き込みながら

クリクリとしたその大きい瞳で心配そうに見つめる優・・・。



そして


「イタイ イタイ ノ トンデケ~」

とその子の背中を撫でながらそう言った。