「お名前は?」

優のお菓子を渡しながら


優しい笑顔で彼女が聞き返した。


「ユウ デス!」元気よく答える。

いつも俺が“ユウ”と呼んでいるせいで


自分の名前は優だと思っている。



「ゆうせい 優晴なんだ。」

慌てて付け加える。


俺から視線を優に向けて


「へぇ~ゆうせい君か。かっこいお名前だね。」


優は少し誇らしげだ。



俺用の買い物袋を渡しながら


「お名前は?」

と彼女が聞いてきた。


聞かれなかったらどうしようと内心思っていた俺は

嬉しいのと焦りとで少し間を空けて



「秋山 春嬉です。」

と照れくさそうに答えた。


普段なら凌駕と答える俺が


嫌いなはずの


“春嬉”


と答えていた。


「いい名前ですね。」


優に向けるのと同じ優しい笑顔で彼女が言った。



俺も優と同じ様に少し誇らしげな顔になっていたかもしれない。