雨はまだビシビシと激しい音を立てて降り続いていた。


俺は優を片手に抱き上げ傘をさそうとした


その時


扉が開いて彼女がサッと俺の傘に手を差し出した。




「車まで、傘さしますよ。」


そう言って自分の傘をさしながら

俺と優が濡れないように精一杯手を伸ばして

俺の頭の上に傘を差し出してくれた。



背があまり高くない彼女にとって

俺の背に合わせて傘をさすのは大変だっただろうけど

優を車に乗せるまでの間

彼女はずっと俺の為に傘をさしてくれた。



傘から雨の雫が肩に落ちる。


その冷たさと引き換えに俺は物凄く温かいモノを感じた。