いままで、手と手を繋いで歩いて来ていたスーパーが車で来るとまた違って見えたのは

車で来たせいでもなく、俺の淋しさのせいなのだろう。



優が一番赤いのを、優にとっては大きい買い物かごに一つだけ入れていたリンゴが 
山積みに積まれている。


(はるぅ  みてぇ~ めっちゃあかいの~)

嬉しそうに話す優の姿が目に浮かぶ。


いつも両手で重たそうに持って来てくれた、いつもの牛乳も


優の大好物のブドウアジのラムネも


キャラクターの描かれたパッケージのレトルトカレーも


レジの前でいつもいじられていたガムも


みんな役目が無くなってその場を動かずに、カゴが空のままだった。




俺は優との思い出を拾い集めるようにスーパーを歩き回った。