沙月がしゃがんで優を抱きしめる姿を、行き交う人の間から見ていた。

顔を合して目を見つめ愛おしそうに話す二人をしばらく見つめ俺はそのまま帰ることにした。

優の荷物がパンパンに入ったカバンを持ったまま、二人に背を向けた。

荷物を宅急便で送ろうと、二三歩歩いた時


「春嬉!!」

沙月の声だった。

振り向くと優の手をひきながら慌てて近寄ってきた。

「春嬉。付き合ってほしい処があるんだけど・・・いい??」