コーヒーを一口飲んで彼女が話を続けた。


「春さんは?これからとか・・・何か予定とか・・あるの?」


「そうなんだよね。

人の相談にのってる場合じゃないよね?!

最近、優に飯つくるでしょ。

で、おいしそうな顔して食ってるの見るとなんかね


幸せな気分になるっていうかな。


人間、幸せ~!!


なんて気分毎日味わえるわけじゃないでしょ。

欲しいもの買えた時とか、給料が上がったとか・・・


そんなのもそん時だけだし・・・。


でもさ、食べることって毎日でしょ。

うまいもん食った時って大げさかもしんないけど幸せ感じない?!



身近な幸せって食べる事ぐらいかもな・・・。って思って。

優が幸せそうな顔してペッロっと平らげちゃうとこっちまで笑顔になっちゃって・・・


だから、少し落ち着いたら料理の仕事探そうかな・・・って思ってる。


また、一からだけど  


まだこれからだしね。人生。」


また、ダーーーと喋ってしまった自分を落ち着かせるようにコーヒーを一口飲んで

机の上に忘れ去られた小さな駒をクッルと回した。


「そっか。春さんも新しい事するんだね。

あたしも一からだし・・・

ちょっと競争みたいだね。

ゴールは何かわかんないけど・・・。」



クルクル渦をつくって勢いよく回る駒を見つめて彼女が言った。


「また、いろいろ話して。俺もするし・・・。俺は・・・」


ももちゃんの頼りになりたいんだ。

なんて、まだ当ての無い俺にはそんなキザなセリフは言えなかった。