「どうしたの?」

彼女の後姿を少し見つめていた俺に不思議そうに彼女が訊ねた。


「んん・・・ううん。なんでも。ちょっとボーとしてただけ。」


笑ってとぼけた振りをしてそう言ったけれど

彼女が一歩前に進んだ事が嬉しいような


もっと頼って甘えても欲しいような・・・


そんな気持ちを彼女に伝えたかったけれど

とっさには言葉としては口から出すことが出来ずに


そんな戸惑いをごまかす笑顔をして見せた。




片付けが終わってテレビを見ているはずの優は

はしゃぎすぎたのか小さく丸くなって眠ってしまっていた。



優をベットに連れて行き


コーヒーの入ったカップを彼女に渡してソファーに腰をおろした。


「お疲れ様。ありがとう来てくれて・・・

楽しかった。パスタもすごくうまかったし。」



「あたしも楽しかった~。自分の料理食べてもらうのなんて何年ぶりだろう?!


なんだか嬉しかった。

優ちゃんと春さんが美味しいって言ってくれて。

春さんのパスタも美味しかったよ。


ビーフシチューが味噌汁の器は笑ったけど・・・。」

また思い出して彼女が笑った。



「ももちゃん前に会った時よりなんだか元気になったね。

安心した。少し疲れて見えたから・・・。」



「うん。さっきも言ったけど吹きっれたのかな。

何か形にならないモノの為に

将来の何かの為に今できることをするのも

先に楽しみが待ってるみたいで面白いなぁ・・・って。

そんな風に思えるようになったのも、春さんのお陰だね。


一人悶々としてたから・・・。」