「ももちゃん、いいよ。俺やるから・・・。座ってて。」


「ううん。いいよいいよ。二人ですると早いでしょ?!」


食べ終わった食器を二人で並んで洗っていると

ずっと前から付き合っていたかのような


そんな親近感が湧いた。


「あれからね・・・春さんと海に行った時。

あの時以来

あたしが変わったからなのか周りが変わったからなのか


ただ視野が変わったせいなのか・・・


分からないけど、んん・・なんだか仕事、うまくいってるんだ。」



泡のいっぱいついた白い皿を洗い流しながら彼女が言った。



「そっか。よかったじゃん。」


「うん。なんかいろいろさせてもらえるようになったし

自分自身もね

虚しいなんてあんまり感じなくなったしね。


趣味でやってる時のようにはいかないけれど・・・


でも、楽しいって少しは思えるようになったカナ・・・って感じ。」


「ももちゃん頑張ってんだね。

仕事となると楽しいだけじゃあ出来なくなるもんだしね・・・」


彼女に洗われた皿をタオルで拭いて片づけながら


前よりもシャキっとした彼女の後姿を見て

前を向いて進んでいる彼女の姿が感じとれた。