俺の横で、水族館の売店で買ったイルカの形をした飴を嬉しそうに食べている優に

視線をやりながらまた話を続けた。



「優は、そんな俺が調子にのってた時に産まれてたんだ。


その彼女とはとっくに別れてたんだけど

彼女、俺に妊娠した事も話さず

産んだ事も内緒にしてずっと一人で優を育ててたんだ。



その事をさっぱり知らない俺は

ひどい態度をとってた。


そんなどうしようも無い俺には、話す気にもなんなかったんだろうね。


その彼女も、すっげえ夢持ってて。


でも優ができて、きっと辛かっただろうけど


彼女は優を選んだんだ。


で、この、5月、期間限定で俺に預けて、彼女は海外に行った。



少し遅れてた夢を叶える為に・・・。


何にも知らない俺は

すっげえためらったし、めちゃくちゃ困ったし、正直腹も立ったけど・・・


優と過ごすうちなんだか


そう、さっき、ももちゃんが言ってたように


純粋でしょ!?子供って・・・。


そんな姿に、自分が恥ずかしく感じるようになってきて。


自分が嘘とか平気でついてる横で

優は楽しい事は楽しんで

悲しい時は泣いて


そんな優を見てるうち、自分の仕事に疑問を持つようになったんだ。


仕事っていうより

自分自身に疑問をもったっていうかね・・・。」