「…?」
「あー…まあ、一応保険、ってことで」
保険?何のでしょうか?
意味はよく分かりませんでしたが、せっかくの菱くんの気まぐれの意欲を余計な詮索で無くしてしまっては意味がないので気にはなりましたが、何も聞かず、一緒に谷津先輩の所へ向かうこととなりました。
「あ、谷津先輩!ちょっとお話いいですか?」
「ああ橋ちゃん…と菱か。これは意外だな」
私が声を掛けると、そんなことを言って少し笑った。
「あの、一週間だけでしたが、本当にお世話になりました…!これからも菱くんをよろしくお願いします!!」
そう伝えると、谷津先輩は一瞬驚いた後に破顔した。
「ははっ!…菱、お前この子が俺と二人きりになるのが心配で付いてきたんだろう?でもこの子、まるでお前の保護者じゃないか…ふふっ」
「だから保険ですって…」
「心配せずとも、人のものを、しかもお前みたいなかわいい後輩の大切な人をとる真似はしないさ」
「へー安心安心(棒)」
「…??」
話の内容に付いていけなくなり、首を傾げていると、その様子に気付いた谷津先輩がにっこりと微笑み、その綺麗な笑顔に釘付けになった。(でも一番綺麗なのは菱くんです!!)
こうして、私の初めてのバイト経験は幕を閉じたのです…。