~気まぐれ男子と旅行。~






ある日の昼下がりのこと…。




─ピッ。



『あ、もしもし橋ちゃ─』


「もしもし菱くん!?どうしたの!今学校でしょ!?」



『え。いや、昼休みだし。てか橋ちゃんも学校でしょ』




「あ、そっか。─じゃなかった!それで、用件は?」

  


『あぁ、あのさ──』






─────────…。






─バンッ!!




「菱くん!!旅行行くって本当!?」



「おかえり橋ちゃん」




気だるげ全開の菱くんに、それとは正反対に嬉しさ全開の私。




だってだって旅行ですよ!?!?



しかも菱くんと二人きりで!!



だがしかし!喜ぶにはまだ早いのです…!



これが菱くんの気まぐれであることはもうご周知の通りですが、あくまでこれは気まぐれ。



しかも旅行という長期な事柄に対しての気まぐれなだけに、飽きるリスクも早くなるのです!!(橋談)



─ガシッ。




気持ちが高ぶってるため、光速で菱くんの前に行き、音速で菱くんの肩を掴み、畳み掛けます。




「菱くんっ、旅行って本当!?ほんとのほんとに行くの!?気まぐれだけで終わらない!?」