「まあまあ。それで?どこ高なの」



「あー、たしか南高…だったかなぁ」



「……ねぇ、ちょっと来て」



「え?」





今の答えに何か問題があったのでしょうか…?


教室をでて、連れてこられたのは人気のない廊下の端。






「あのさ、あんたの彼氏ってもしかして、菱、って人だったりする?」





「え?う、うん…そうだけど。─って、ええ!?なんで分かったの!!??」




「いや、なんか頭に浮かんだからさ。しかし、本当にそうだったとは…」




「菱くんって有名人だったんだ…」



初耳です!




「すらっとしたスタイルに爽やかなルックス」




「え?」




「程よい大きさの瞳は少年のような純粋さが溢れ出し、艶やかでサラサラな黒髪はセンター分けにされ、肩より少し上の長さの髪は跳ねさせ、あそばせている。そんなところがまたかわいらしくてでも」




「え、あ、あの、しのちゃん…?」





「言い出したらきりがないくらいの情報があるくらい、あんたの彼氏は有名ってこと」





「な、成る程…」





「…とにかく、彼氏が菱って人だってことはあたし以外に言ったりしちゃだめだか…」





《キャアアアアアアアアアア!!!》





突然校内に響き渡った歓声に思わず体を揺らす。


「うわぁ!び、びっくりした…」



「うちらの教室から聞こえたよね。…ちょっと見てみよ」



「う、うんっ…!」