「え、俺長さ足りないかも…」



変なところに不安を抱く菱くんです。



─が、敢えて突っ込みません。




「じゃあ菱くんの長さじゃ出来ないから、せんえつながら私の髪で」



「痛くしたらごめん…」



「ふふっ、大丈夫大丈夫。えっとね。まず三等分にして…──」






────…





「よ、ほっ、とりゃ」




「だいぶ素早く編めるようになってきたね」





基礎を習得し、スピードを極めようと意気込む菱くん。




─が。



「……//」




その一方で尋常じゃないほどに心臓がフル稼働している私はもう三つ編みどころじゃない。






どうして触れられるだけでこんなにドキドキするんだろう…!?




「よし、完成っ」


「わっ」


「…?どした?」


「あ、ううんっ。か、鏡みてみるね」




びっくりした…。



急に話しかけられて思わず体を揺らしてしまった。



カアアと熱くなった頬を隠すように菱くんに背を向け、リュックから鏡を出し、紅潮した顔と髪型を確認する。





「うわぁ…すごい…上手だよ菱くん!」




「おおっ。よし決めた。今度から橋ちゃんの三つ編みは俺がする」