放課後





「どこにいるんだろう…」




あたしはいつものようにデジカメと双眼鏡を首にさげてターゲットを探す。






ターゲットとはもちろん、相良棗。





あの意味不明な朝の儀式から彼のことを一度も見ていない。





実はこの学園、学力別にクラス分けされていて、とくに相良くんの属するSSクラスは他のクラスとは別館なので、容易に入ることができないのだ。




つまり、完全隔離されてるってわけですね。



まぁ、あたしみたいな家柄も偏差値も平凡レベルな人間は、当然Eクラスだから、侵入どころかSSクラスに近づくことさえも許さないんだけど。




しかし!!


今回は特別だ。


許されなかろうがあたしには張り込み調査という義務がある!



新聞部を守るため、校則など見て見ぬ振りだ!






まぁそんなことはおいといて、




「相良くんどこなのー…」




双眼鏡で必死に探すが見当たらない。





あれだけのオーラがあるから、絶対わかるはずなんだけどなぁ…。




あたしは双眼鏡を持ったまま学園内をうろうろする。






すると






『きゃああああっ!!』



聞き覚えのある奇声(口悪い)。




むむっ!!



これはもしや!!




あたしは叫び声のした方に目をむけた。






やっぱり!!




「棗様っ!おかえりになるのですね!」



「さようなら相良様!!」




「無事おかえりなさいませ相良様!」





そこにはたくさんの女子たちに見送られながら車に乗り込む相良棗の姿。





おおっ!



これは驚いた…っ。



SSクラスのある館になんて近づいたこともなかったから初めて見た。




相良棗は毎日ベンツで登下校しているようだ。



新しい情報が手に入った。



これは 相良くん観察ノート に記さなければ…。