あたしが必死にシャッターを押していると
「こんな可愛い子たちに出迎えてもらって嬉しいよ」
キラッ
相良くんはそう言って白い歯を見せながらはにかんだ。
その瞬間
『きゃあああああああああああ!!!』
悲鳴ともとれるほど甲高い叫び声が中庭中に響いた。
うっ、うるさ…っ!
3階からでもうるさいのに、この集団に入って聞いてみるとさらにうるさい。
だけど、至近距離で聞いている相良くんは顔をしかめることなくずっとはにかんだまま。
す、すごい…っ!
やっぱり相良くんは正真正銘の王子様だ….っ。
あたしが相良くんなら、絶対いやな顔してしまう…。
部長は裏がある、なんて言ってたけど、どうも信じられない….。
こんな見た目も中身も素敵な人に、裏があるなんて思えないし。
こんな人のゴシップなんて撮れるのかしら…。
あたしは悩殺されまくる女子たちに紛れて、密かにそんな不安を感じていた。
しかし
この時、ななせは気づかなかった。
__相良棗が、じっと彼女のことを見つめていたことに…。