AM8:15
「まだかしら」
「いつも20分くらいにはおいでになるから、もうじきじゃないかしら」
なにやらそわそわとした様子の女子たち。
今から行われることは別に特別なことではない。
日常的に行われる儀式みたいなものだ。
ただ、この儀式にあたし自身が参加するのは初めて。
時計を見ると8時19分。
「あと1分よ!みんな準備して!!」
女子群のリーダー格みたいな女が突然手をあげて叫びだした。
とうとうその儀式が始まるようだ…。
すると
『きゃあああああ!!』
「相良様がきたわよ!!」
聞きなれた黄色い声。
だけどさすがに至近距離で聞いたらきつい…。
そう、お分りのとおり、儀式というのはこのこと。
登校してくる相良 棗を出迎える。
ただこれだけ。