「棗様はどこだぁ〜?」




あたしはいつものように双眼鏡であたりを見渡しながら中庭をうろつく。



きっと周りからは不審者を見るような目で見られているのだろう。



ふん、まぁそれも仕方のないことだ。



なんたってあたしは新聞部。



誰にどう思われようと相良棗の情報を手に入れなければならないのだ!




まぁ今の時刻は4時30分前。



いつも4時30分に相良くんのお迎えがくるから、もうじき正門前に黒いベンツがやってくるだろう…。






あたしはそう予想しつつも双眼鏡であたりを見渡しながら時間を潰した。









しかし







「あれ、ベンツがこないっ」





いつもの時間になっても現れない黒いベンツ。




それに相良くんの姿もないし、いつもの奇声も聞こえない。




すると



「あら、今日は相良様のお迎えがいらっしゃらないのね」



「棗様、どこにいらっしゃるのでしょう…」





周りの女子たちにも同じことを疑問に思っているようだ。



おかしい…。






こ、これは事件か…っ!




スクープ大好物なあたし、こういう日常が壊されたときの危ない予感、すごく興奮します…。




あたしは相良くんの行方を探すべく双眼鏡をもって学園内を散策し始めた。