隆也side


僕には大好きなお兄ちゃんがいる。

優しくて、かっこよくて、強くて…憧れの自慢のお兄ちゃんだけど…





「お兄ちゃんおはよ…」

「はよ」


びくっ



毎日お兄ちゃんと一緒に寝ている僕は、布団から起きると必ずお兄ちゃんも起きてくる。

朝の挨拶をすると、お兄ちゃんは怖い顔をして眠そうに頭をかいていた。


お兄ちゃんはすごく優しいんだけど…顔が怖い。

いつも怒ってるんじゃないかって思うんだけど、話すと優しいから…怖い顔をしてるだけなんだよね。


でもね、

僕は優しい顔をするお兄ちゃんを知ってるよ…






「隆也くーん!お兄ちゃん迎えに来たよ~」


洋平の家で遊んでいたら、お兄ちゃんが迎えに来てくれた。僕は荷物を持って洋平の家の玄関に向かうと…





「沙世っぺは今日も可愛いねぇ」

「そ、そんなことないよ」


玄関で沙世お姉ちゃんと話すお兄ちゃんは、すごく優しい顔をしていて全然怖くなかった…

いつものお兄ちゃんもすごく好きだけど…沙世お姉ちゃんと話す時のお兄ちゃんは、もっと好きだと思った。



だから僕は…








「あー暇だなぁ」


ある日の日曜日の午後。

リビングでゴロゴロしているお兄ちゃんを見て、僕は話しかけた。




「ねえお兄ちゃん…」

「んー」

「これから洋平の家に遊びに行ってもいい?沙世お姉ちゃんがクッキー焼いたからおいでって言ってるって、さっき洋平からメールがあって」

「…」


ソファーに寝転んでいたお兄ちゃんは、ガバッと起き上がると嬉しそうに笑った。






「しょーがねえな」



嬉しそうなお兄ちゃん。

それを見て、僕も嬉しくなった。





僕は知ってるんだ…


お兄ちゃんが優しく笑う瞬間…☆