凌哉side


沙世と2人きりの夜、並んでベットで寝たまでは良かったんだけど…

なんだか沙世の様子が変だ。

顔を赤くしだるそうにして、呼吸が荒い気がする…





「…」


俺は隣に寝転がりながら、沙世の額に手を当ててみる…





「あつ…」


沙世の体は熱く、触っただけでも熱があるのがわかった。

俺はすぐに飛び起きて部屋を出ると、下のラウンジにいる従業員に体温計と氷…そしてミネラルウォーターをもらいすぐに部屋に戻った。

ベットに寝転がる沙世の体温を計り、その間にバスルームで氷水を用意してでタオルを濡らす。





沙世の奴…

風邪ひいたのかな。


昼間ずっと外で動き回っていたせいか…

だとしたら、もっと早く見つけてやればよかった…



そんな事を考えながらタオルを濡らして寝室に行き、体温計を見てみると沙世は38度5部も熱があった。

焦った俺はすぐに沙世の額にタオルを乗せて、タオルケットを2枚体にかけた。






「ハァ…ハァ」


辛そうに息をして眠る沙世。

俺は沙世の隣に見守るように寝転がり、様子をうかがいながら腕を組んだ。
 


もしかしたら…さっきUNOやってる間も具合が悪かったのかな…

だとしたら俺の責任だ。


…なんで気づいてあげられなかったんだろう。







「凌…哉………くん」



え。



すると突然…沙世が寝言で俺の名前を言った。

今さっきまで険しい顔をしていた俺だが、沙世のその行為でちょっとだけ表情が緩む。





かわいい…

これはマジでズルいだろ。



俺は沙世の頭を撫でて、細くてきれいな髪を触った…

そして、その延長で沙世の頬をプニッとつねる。



こんな時でも沙世に意地悪したくなる自分をバカだと思いつつ、同時に沙世に対する自分の想いを改めて確認している気もした…


誰かを好きになるって…こんな感じなのか。

沙世を誰にも渡したくない。

独り占めしたい…


ずっと俺だけを好きでいてほしい。



それって欲張りなのか。

だけどきっと…


そんなふうに思う気持ちを、世間では恋というんだろうな。

沙世を好きになって段々わかってきたよ。








「…」


沙世の方に近づき寝転がる俺は、また頭を撫でながら沙世の髪にそっとキスをする。

いつも元気でニコニコしてる沙世のこんな姿を見るのは初めて…




早く良くならねえかな。

せめて熱だけでも下がってくれればいいんだけど…


俺は願いを込めるように沙世を抱きしめて、髪の毛を何度も撫でた…






「ん…凌哉くん……」



う…


眠りながら、また俺の名前に寝言でつぶやく沙世。しかも抱きしめている俺の胸に顔をうずめて来る沙世…



これは本気でヤバいだろ。

病人とはいえ、なに考えてんだこいつは…


こっちは一応男なんだから、それなりいつも理性と戦ってるわけで…





「うーん…」

「…」


こっちの苦労も知らずに、沙世は俺の胸に顔をうずめながら俺の着ているTシャツを手で掴んでくる。

おでこに置いていたタオルはベットに落ちて、俺はそれを拾ってとりあえずベット横のデスクに置いた。



こいつは…





俺は必死で理性を保ち、他のことを考えて気を紛らわせていた…

けれども自分にしがみつくように眠る沙世を目の前にすると、やっぱり脳みそはごまかせないものだ。

沙世のはだけた胸元や、熱で火照った首もとばかりに目がいくのが正直なところ…





まだ付き合って2ヶ月も経ってないし…沙世の様子を見ても、今は一戦を越えるべきではないことはわかる。

無理やりとかは絶対嫌だし、やっぱり沙世の気持ちを一番に優先すべきだよな…と思ってたんだけど…

こっちが普段必死でセーブしてるにも関わらず、寝ているとはいえ向こうから来られた日には男としては我慢出来ないわけで…


悪いけど…

ちょっとくらい苛めていい?









ギシ…


少し体を起こすと俺は沙世の長い髪を後ろに流して、そのまま首筋を舐めるようにキスをした。

熱をおびた沙世の肌に、俺はキスを続けながら流れでキスマークをつける。






やっべ。

これ沙世が起きたら怒られるかも…



首筋の目立つ部分に赤い跡が残り、俺はそれを眺めながら寝ている沙世の顔色をうかがっていた。





ま、いっか。


沙世の額に手を当てると、さっきよりも熱が下がっているように感じた。

俺は少し安心したあと、また沙世を抱きしめた…