「妃華ちゃんだけを叱らないでね!行くって決めたのは私だし、それに道に余計迷っちゃったのは私のせいで…」
「2人共黙れ。じゃないとマジでブチ切れるぞ」
う…
軽井沢で道に迷う事より、森の中から物置が聞こえて来る事よりも…凌哉くんが一番怖い気がする…
「…気がついたらお前らがいなくて、ペンションのオヤジに聞いたらスーパーに行くって行って出てったって言うから行ってみればスーパーにいねえし…」
「え?スーパー行ったの!?」
目を丸くする妃華ちゃん。
私からすればスーパー行ったの?というよりも、行けたの?って感じなんですが…
「ずっと探し回ってやって見つけたら、ペンションから離れたこんな場所にいるし…」
嘘…ここってペンションから離れてるの?
やっぱりむやみに歩き回ったせいで、余計に道に迷ってたんだ…
「俺があと一歩でも遅かったら、この不審者に何されてるかわかんなかったんだぞ!」
「はい…」
「ごめんなさい…」
ここに倒れてる人…凌哉くんに殴られてのびてるみたいだけど…不審者だったんだ。
こんな森でウロウロしてるんだから不審者だろうけど、凌哉くんが来なかったらって考えると改めて怖くなる。
「ったく…ほら起きろ。今警察呼んでお前の事話す………あれ?」
地面にうつぶせに倒れている不審者を凌哉くんが起こすと、顔が腫れたその人は…なんと…
「み、溝口!!?」
よく見ると、その人はあの溝口くんだった!
「ひでえよ凌哉!殴ることねーだろっ」
「ごめん!暗くてよく見えなかったから、お前だって気づかなかった…」
溝口くんを支えながら起こす凌哉くんは、何度も何度も謝っていた。
「凌哉と一緒に沙世ちゃん達を探し回って…やっと見つけたと思ったら殴られるってどーいうこと!?こんなのってあり!?俺殴られるのなんて初めてなんだけどっ」
頬を押さえながら騒ぎ始める溝口くんに、私はすぐにカバンからハンカチを出して腫れ上がった頬にそっと当てた。
「大丈夫…?痛いでしょ?」
「沙世ちゃん…優しいね♡」
「え?」
ドスっっ
ハンカチで頬を押さえている私の手を握る溝口くんに、凌哉くんは横から思いっきり蹴りを入れた。
「いってえな!ジョークだろジョーク!!」
「今の俺に冗談は通じねえんだよ」
地面に尻餅をつく溝口くんは、半泣き状態で凌哉くんに指を差しながら叫んだ。
「こんな事で嫉妬しないの。ほら私の使って!」
「も~」と言う妃華ちゃんは自分のハンカチを渡すと、手を差し出して尻餅をついた溝口くんの体を起こした。
今の…嫉妬だったの…?
この状態で凌哉くんに確かめる事は出来ないけど、それが事実なら嬉しいな。
いやいや。今はそんなことで嬉しがってる場合じゃないよね…
私達を探し回ってくれた凌哉くんと溝口くんに、ちゃんと謝らないと。
「軽はずみな行動して本当にごめんなさい…」
深く頭を下げて謝ると、溝口くんが明るい声を出して言った。
「いいのいいの!無事に見つかったんだし、これから気をつければいーのさ♪」
「一番悪いのは私なんだから…沙世ちゃんは本当に気にしないでね」
妃華ちゃんと溝口くんは優しくそう言ってくれたけど…
「…」
凌哉くんは何も言わず無表情のまま「帰るぞ」とだけ言って先に歩き始めた。
私達3人は慌てて凌哉くんの後を追い、口数が少ないままペンションまでの距離を歩いた。
「溝口」
ペンションが見えて来ると凌哉くんは立ち止まって、溝口くんに声をかける。
「妃華連れて先に帰っててくれ。ペンションのオヤジと圭吾にはお前から事情を話しておいて欲しい」
「いいけど…お前は?」
「ちょっと沙世に話があるから」
…え。
話………ですか?
「今日はもう許してやれよ…!沙世ちゃんだって疲れてるんだから」
「いーから行けよ。すぐ戻るから」
溝口くんと妃華ちゃんは私を心配しながら見つめた後、渋々ペンションの中に入って行った。
2人きりになった私達は…お互い口を開かないまま、ペンションの近くにある大きな木の下までやって来る。
話ってなんだろう…
怒られるのかな…
それとも別れ話とかだったらどうしよう…
2回も心配かけちゃったから、こんな勝手な女とはもう付き合っていけないとか言われちゃうのかな…
そう思うと一気に悲しくなり、私は違う意味で泣きそうになっていた。
「沙世…」
「ごめんなさい!」
「…?」
口を開いた凌哉くんを止めるように、私は涙を流しながら謝り続けた。
「ごめんなさい!ごめんなさい…」
「…」
怒られても何されてもいいから…別れるなんて言わないで!
「沙世…」
「ごめんなさい!!もう勝手なことしないから…別れるのだけは………」
「は?」
暴走する私の手を掴む凌哉くん。そしてそのまま自分の方に引っ張って引き寄せると、私をそのまま力強く抱きしめた…
「2人共黙れ。じゃないとマジでブチ切れるぞ」
う…
軽井沢で道に迷う事より、森の中から物置が聞こえて来る事よりも…凌哉くんが一番怖い気がする…
「…気がついたらお前らがいなくて、ペンションのオヤジに聞いたらスーパーに行くって行って出てったって言うから行ってみればスーパーにいねえし…」
「え?スーパー行ったの!?」
目を丸くする妃華ちゃん。
私からすればスーパー行ったの?というよりも、行けたの?って感じなんですが…
「ずっと探し回ってやって見つけたら、ペンションから離れたこんな場所にいるし…」
嘘…ここってペンションから離れてるの?
やっぱりむやみに歩き回ったせいで、余計に道に迷ってたんだ…
「俺があと一歩でも遅かったら、この不審者に何されてるかわかんなかったんだぞ!」
「はい…」
「ごめんなさい…」
ここに倒れてる人…凌哉くんに殴られてのびてるみたいだけど…不審者だったんだ。
こんな森でウロウロしてるんだから不審者だろうけど、凌哉くんが来なかったらって考えると改めて怖くなる。
「ったく…ほら起きろ。今警察呼んでお前の事話す………あれ?」
地面にうつぶせに倒れている不審者を凌哉くんが起こすと、顔が腫れたその人は…なんと…
「み、溝口!!?」
よく見ると、その人はあの溝口くんだった!
「ひでえよ凌哉!殴ることねーだろっ」
「ごめん!暗くてよく見えなかったから、お前だって気づかなかった…」
溝口くんを支えながら起こす凌哉くんは、何度も何度も謝っていた。
「凌哉と一緒に沙世ちゃん達を探し回って…やっと見つけたと思ったら殴られるってどーいうこと!?こんなのってあり!?俺殴られるのなんて初めてなんだけどっ」
頬を押さえながら騒ぎ始める溝口くんに、私はすぐにカバンからハンカチを出して腫れ上がった頬にそっと当てた。
「大丈夫…?痛いでしょ?」
「沙世ちゃん…優しいね♡」
「え?」
ドスっっ
ハンカチで頬を押さえている私の手を握る溝口くんに、凌哉くんは横から思いっきり蹴りを入れた。
「いってえな!ジョークだろジョーク!!」
「今の俺に冗談は通じねえんだよ」
地面に尻餅をつく溝口くんは、半泣き状態で凌哉くんに指を差しながら叫んだ。
「こんな事で嫉妬しないの。ほら私の使って!」
「も~」と言う妃華ちゃんは自分のハンカチを渡すと、手を差し出して尻餅をついた溝口くんの体を起こした。
今の…嫉妬だったの…?
この状態で凌哉くんに確かめる事は出来ないけど、それが事実なら嬉しいな。
いやいや。今はそんなことで嬉しがってる場合じゃないよね…
私達を探し回ってくれた凌哉くんと溝口くんに、ちゃんと謝らないと。
「軽はずみな行動して本当にごめんなさい…」
深く頭を下げて謝ると、溝口くんが明るい声を出して言った。
「いいのいいの!無事に見つかったんだし、これから気をつければいーのさ♪」
「一番悪いのは私なんだから…沙世ちゃんは本当に気にしないでね」
妃華ちゃんと溝口くんは優しくそう言ってくれたけど…
「…」
凌哉くんは何も言わず無表情のまま「帰るぞ」とだけ言って先に歩き始めた。
私達3人は慌てて凌哉くんの後を追い、口数が少ないままペンションまでの距離を歩いた。
「溝口」
ペンションが見えて来ると凌哉くんは立ち止まって、溝口くんに声をかける。
「妃華連れて先に帰っててくれ。ペンションのオヤジと圭吾にはお前から事情を話しておいて欲しい」
「いいけど…お前は?」
「ちょっと沙世に話があるから」
…え。
話………ですか?
「今日はもう許してやれよ…!沙世ちゃんだって疲れてるんだから」
「いーから行けよ。すぐ戻るから」
溝口くんと妃華ちゃんは私を心配しながら見つめた後、渋々ペンションの中に入って行った。
2人きりになった私達は…お互い口を開かないまま、ペンションの近くにある大きな木の下までやって来る。
話ってなんだろう…
怒られるのかな…
それとも別れ話とかだったらどうしよう…
2回も心配かけちゃったから、こんな勝手な女とはもう付き合っていけないとか言われちゃうのかな…
そう思うと一気に悲しくなり、私は違う意味で泣きそうになっていた。
「沙世…」
「ごめんなさい!」
「…?」
口を開いた凌哉くんを止めるように、私は涙を流しながら謝り続けた。
「ごめんなさい!ごめんなさい…」
「…」
怒られても何されてもいいから…別れるなんて言わないで!
「沙世…」
「ごめんなさい!!もう勝手なことしないから…別れるのだけは………」
「は?」
暴走する私の手を掴む凌哉くん。そしてそのまま自分の方に引っ張って引き寄せると、私をそのまま力強く抱きしめた…