「えええ!付き合うことになった!!?」


あの後凌哉くんと2人で男子部屋に戻ってトランプ等で遊んでしばらくすると、柳田くんがコソコソと部屋に帰って来た。

柳田くんに「どうだった!?」と問い詰めても恥ずかしがって教えてくれないので、私と妃華ちゃんで春子を取調べに部屋に戻って来ると…こちらも顔を真っ赤にしてるだけで、中々教えてくれなかったのだけれど…

数十分格闘した後、ようやく口を開けた。


なんとこの数時間で、春子は柳田くんに告白されて付き合うことになったなったらしい。

凌哉くんの言ってた通りになり、私の願いが通じてすごく嬉しい!





「ちょっとちょっと!なんでそーなったのよっ、教えなさいよっ!!」


妃華ちゃんが鋭い目つきで春子に詰め寄る。




「そ、そんなこと言えないよ~」

「はあ?あんだけ心配したのよ!?それくらい教えてくれたっていいでしょ。フリーの私からすればムカつく情報だけど、一応聞いてあげるわよ」

「ごめん今は無理~今度落ち着いたら話すからー」


ベットの上でタオルケットに覆いかぶさる春子は、照れながらも幸せそうな顔をして言った。


妃華ちゃんの毒にも反応しないってことは、よっぽど恥ずかしいんだな…





「わかったよ!今は聞かないから落ち着いたら話してよ…ね?」

「沙世…」


今は幸せで気持ちがいっぱいなんだよね。それはなんとなくわかるから…





「何はともあれおめでとう!今度wデートしようねっ」

「うん!ありがとう沙世!!」


親友が好きな人と結ばれた瞬間て…自分の事みたいに嬉しいんだな。

こんなことが起きるなんて、やっぱり旅行って何が起こるかわからない。改めて来てよかったよ。




「wデートってことは…私は早く彼氏つくんないとそこには入れないじゃん!」


悔しそうに言う妃華ちゃんに、私と春子は思わず笑ってしまった。


その夜は中々眠ることが出来なくて、3人で夜な夜なガールズトークに花を咲かせた。



会話を楽しみながら、時々隣の部屋にいる凌哉くんのことを考えていた…

さっきまで一緒にいたのに、今はなんだか寂しくてなんでまた会いたくなるんだろう…


早く明日にならないかな…













翌日。ペンションの主人がテラスに朝食を用意してくれて、私達は外の自然を感じながら食事を済ませた。

春子と柳田くんはぎこちない雰囲気だったが、それが逆にラブラブに見えて微笑ましかった。


明日は帰る日だから…今日はとことん楽しんで、思い出つくらなきゃね!

それに…今日の夜は凌哉くんと2人きりで会う約束してるし…


夜を楽しみにしながら今日は川に釣りに行くことになり、午後からペンションの主人のお知り合いの人と近くの川にやって来た。





結構人がいるんだなぁ…

足だけ川につかって遊んでる人もいるし、BBQしてるグループもいる。





「すっげえー」


洋平と隆也くんは魚のつかみ取り体験を初めたみたい。キャッキャとはしゃぐ声が聞こえるから、すごく楽しんでるみたい…

凌哉くんや男子チームも釣りを始めてるなみたいだ。






「沙世ちゃん♪」


私も釣りを始めようかと思っていたら、後ろから妃華ちゃんに声をかけられた。






「妃華ちゃんは釣りやらないの?」

「そんな事より…ちょっといい?」


周りをキョロキョロと気にしながらヒソヒソと話す妃華ちゃんに、私は不思議に思いながらも耳を傾ける。








「どうしたの?」

「ねえ、これからスーパー行かない??」

「え?」


妃華ちゃんの口から出た言葉は、私の想像を遥かに超えるもので驚いてしまった。






「買い物?」

「うん…良かったらこれからケーキでも作ろうと思って」

「…いいけど…どうして急にケーキ?」


誰か誕生日の人でもいるのかな…?





「いや…さ。この前の凌哉の誕生日の時のお詫びってゆうかさ…」


照れくさそうに言う妃華ちゃんは、すぐに申し訳なさそうな顔をして私を見つめた。






「私のせいであの日ケーキが台無しになっちゃったでしょ。だからこれからスーパーで材料買ってケーキ作って…凌哉をびっくりさせない?」


妃華ちゃんの提案にテンションが一気に上がった。







「作る!作りたいっ!!!」


彼氏の誕生日にケーキを作るのって、本当はずっと夢だったの!






「決まりだね☆」

「うん!じゃあ、ちょっと凌哉に一言声かけて来るね」

「ちょい待ちっ」


背を向ける私の、服の襟を掴んで止める妃華ちゃんで。