私の番号を知ってたってどういうこと?

いくら凌哉くんでも、そんなメンタリストみたいな力はないよね???




「あれだけゲームやってれば、割り箸の割れ方とか見てればなんとなくわかる。それに、俺が「5番」って口にした時の沙世の反応見れば確定だ」


す、すごい!この人何者なの!?

やっぱり凌哉くんてすごい!一生勝てる気がしないよ…





「いいなお前は…顔も頭も良くて、おまけにかわいい彼女もいてよ…」


膝を抱えながら遠くを見つめる溝口くん。





「溝口くんは彼女いないの?」


かわいい彼女なんて言われて照れる気持ちを押さえながら、溝口くんに質問する私。そんな私に気づいた凌哉くんは、クスッと笑って私の頭をポンと撫でる。





「いない…16年間いたことない…」


ウルウルと目を潤ませる溝口くん。





「そうなの?そんなふうに見えないけどなぁ」


溝口くんはちょっと軽そな感じはするけど、ノリはいいし女の子に慣れてる感じ…

見た目だってかっこいいのに、一度も彼女がいたことないなんて信じられないな。






「ま、彼女が出来ないのは俺の理想が高過ぎるせいかな~」


エヘヘと笑う溝口くんは、舌をぺろっと出して笑った。





「言われてみればそんな感じするな…お前結構女に厳しいし」

「アハハ♪そんなつもりはないんだけどね~」


納得しながら言う凌哉くんの言葉に、溝口くんはまた笑った。





「どうせ付き合うなら自分が本当に好きな人見つけてからって思うと、ついつい厳しくなっちゃうんだよね~ちょっとでも嫌なところ見つけちゃったらすぐに嫌になったりするし」


ふーん…軽そうなのにすごく慎重に女の子のこと見てるんだな。溝口くんに対する見方が益々変わったかも…

考え方は凌哉くんに近いのかもな…






「用は臆病者なだけじゃないの?軽いノリで付き合って何かあった時に傷つきたくないだけでしょ?」


溝口くんを小馬鹿にしように言う妃華ちゃんは、ジュースを飲みながら足を組んだ。





「…うーわ。お前みたいな女が一番嫌~自分も16年間男いないくせにエラソーなこと言うよね~」

「なんですって!?てゆうか、なんであんたがそんなこと知ってるよっ」

「圭吾に聞いちゃったもんねー♪」


それを聞いた妃華ちゃんは鬼のような形相をして、柳田くんを思いっきり睨んだ。







「お、お前が彼氏いるのか聞かれたから「いない」って言っただけだよっ」

「だとしても16年間いないって言うことないでしょーがっ!!」


柳田くんに近づいて胸ぐらを掴む妃華ちゃん。


春子の次は柳田くんと喧嘩…?本当に妃華ちゃんて豪快だなぁ。





「休憩したら何やるー?トランプとかもってきたけど」

「小学生かよ…」


凌哉くんの突っ込みに、溝口くんは子供みたいに無邪気な顔をする。






「いいじゃん♪せっかくだからやろうよ!ちょっと取ってくるわ」


溝口くんは立ち上がり、静かに寝室に入って行った。

寝ている弟達に気を使う行為を見て、溝口くんの人の良さがうかがえる。








「私…ちょっと気分が悪いから先に部屋に戻るね」


すると春子が気まずそうにそう言うと、逃げるようにドアの方に走って行った。

私は妃華ちゃんと顔を見合わせたあと、春子をすぐに追い掛ける。









「春子!」


ドアノブを握る春子を呼びかけると、こっちを振り返ることなく「ごめんね」と言って部屋から出て行った。