ポツポツ…
ポツ…
嵐のような大雨は段々と小雨に変わっていく…
駐輪場で雨宿りをしながら、私と凌哉くんはあまり言葉を交わすことなくぼんやりと雨を眺めていた。
一時はどうなるかと思ったけど、無事に凌哉くんと会うことが出来て心からホッとしてる…
傘が壊れてしまってから雨に打たれて前に進み、雷の恐怖にも耐えてなんとか約束通りの時間に凌哉くんの家の近くまで来れた…
だけど凌哉くんは連絡の取れない私を心配して探し回ってくれていたんだ…
私は他のことばかり考えて、凌哉くんに心配かけてるなんて全然思いもしなかった。連絡が取れないことを、そこまで深く考えてなかったんだ…
凌哉くんが怒って当然だよね…
どうしよう…
せっかくの誕生日なのに、私が台無しにしちゃったかな…
もしかして…だらしないと思われて、嫌われちゃったかも…
もう一度ちゃんと謝ったほうがいいよね。
「あの…凌哉く……」
「雨おさまってきたな」
「…」
凌哉くんは私の言葉を遮るように言って、空を見上げた。そして私の持ってきた荷物を抱えて、クルッとこっちを向く。
「行くぞ…」
「…うん」
いつものように優しい顔をしてくれない。
鋭い目つきに無表情な顔、口調はいつもと変わらないけれどどこか冷たく聞こえる…
謝るタイミング逃しちゃった…
なんか泣きそうになってきたよ…
「沙世何してんだ?行くぞ」
「あ…ごめん」
一歩先を歩く凌哉くんに呼ばれて、私は小走りで近づいた。すると凌哉くんは、両手で持っていた荷物を片手で持ち、私に手を差し出してきた。
私は迷うことなく手を握りしめると、凌哉くんは少しだけ笑ってくれた…
ちょっとだけ涙が出た…
カチャ
カシャン…
凌哉くんの家まで来ると、2人で門を通って玄関の前でとりあえず荷物を下ろす。凌哉くんはポケットから鍵を出すと、手慣れた手つきで玄関の鍵を開けた。
「凌くん!沙世ちゃん見つかった!!!?」
玄関のドアを開けると、リビングから綺麗な女の人が慌てて走ってくる。
もしかして…凌哉くんのお母さん?
「あ、沙世…ちゃん………良かったわ…会えたのね。お母さん心配したわ」
やっぱり…!この人が凌哉くんのお母さんなんだ!すごく綺麗な人!
それにセレブのマダムっぽいし、頭良さそう…
凌哉くんのお母さんは私を見るなり目をうるうるさせ、安心したようにその場に座り込んでいた。
「あの!はじめまして…萩原 沙世と申します!!」
カチンコチンに緊張しながら、お母さんにぎこちない挨拶をする私。
しかも初対面なのに、びしょびしょに濡れてるってなんなの…?すごく失礼だよね…
「フフフ、はじめまして。凌哉の母の響子(きょうこ)です。いつも息子達のお世話をしてくれてありがとう」
「い、いいえ!とんでもないです!!」
響子さんて言うんだ…顔だけじゃなくて、名前も綺麗だな。
それにすごく優しく笑う人…凌哉くんに笑い方が似てる……
「沙世…ちゃん…」
すると、響子さんの後ろから気まずそうに顔を出す妃華ちゃん。
ケーキ屋さんパシリにさせられたからちょっと気分悪いけど、ここは挨拶はちゃんとしないとね。
「妃華ちゃん久しぶ…」
「妃華っ…てめぇ…」
え…
凌哉くんは土足のまま家に足を踏み入れ、いきなり妃華ちゃんの腕を思いっきり掴んだ。
「凌くんっ…やめて!」
響子さんがとっさに凌哉くんを止めに入る。
「凌哉くんっ…」
訳が分らないが、私はくつを脱いで家に入り凌哉くんの腕を掴んだ。
「ふざけんな妃華っ!てめぇそんな奴だったのかよ…」
ものすごく怖い声で言う凌哉くん。私と響子さんは、顔を見合わせながら必死で凌哉くんを止める。
ポツ…
嵐のような大雨は段々と小雨に変わっていく…
駐輪場で雨宿りをしながら、私と凌哉くんはあまり言葉を交わすことなくぼんやりと雨を眺めていた。
一時はどうなるかと思ったけど、無事に凌哉くんと会うことが出来て心からホッとしてる…
傘が壊れてしまってから雨に打たれて前に進み、雷の恐怖にも耐えてなんとか約束通りの時間に凌哉くんの家の近くまで来れた…
だけど凌哉くんは連絡の取れない私を心配して探し回ってくれていたんだ…
私は他のことばかり考えて、凌哉くんに心配かけてるなんて全然思いもしなかった。連絡が取れないことを、そこまで深く考えてなかったんだ…
凌哉くんが怒って当然だよね…
どうしよう…
せっかくの誕生日なのに、私が台無しにしちゃったかな…
もしかして…だらしないと思われて、嫌われちゃったかも…
もう一度ちゃんと謝ったほうがいいよね。
「あの…凌哉く……」
「雨おさまってきたな」
「…」
凌哉くんは私の言葉を遮るように言って、空を見上げた。そして私の持ってきた荷物を抱えて、クルッとこっちを向く。
「行くぞ…」
「…うん」
いつものように優しい顔をしてくれない。
鋭い目つきに無表情な顔、口調はいつもと変わらないけれどどこか冷たく聞こえる…
謝るタイミング逃しちゃった…
なんか泣きそうになってきたよ…
「沙世何してんだ?行くぞ」
「あ…ごめん」
一歩先を歩く凌哉くんに呼ばれて、私は小走りで近づいた。すると凌哉くんは、両手で持っていた荷物を片手で持ち、私に手を差し出してきた。
私は迷うことなく手を握りしめると、凌哉くんは少しだけ笑ってくれた…
ちょっとだけ涙が出た…
カチャ
カシャン…
凌哉くんの家まで来ると、2人で門を通って玄関の前でとりあえず荷物を下ろす。凌哉くんはポケットから鍵を出すと、手慣れた手つきで玄関の鍵を開けた。
「凌くん!沙世ちゃん見つかった!!!?」
玄関のドアを開けると、リビングから綺麗な女の人が慌てて走ってくる。
もしかして…凌哉くんのお母さん?
「あ、沙世…ちゃん………良かったわ…会えたのね。お母さん心配したわ」
やっぱり…!この人が凌哉くんのお母さんなんだ!すごく綺麗な人!
それにセレブのマダムっぽいし、頭良さそう…
凌哉くんのお母さんは私を見るなり目をうるうるさせ、安心したようにその場に座り込んでいた。
「あの!はじめまして…萩原 沙世と申します!!」
カチンコチンに緊張しながら、お母さんにぎこちない挨拶をする私。
しかも初対面なのに、びしょびしょに濡れてるってなんなの…?すごく失礼だよね…
「フフフ、はじめまして。凌哉の母の響子(きょうこ)です。いつも息子達のお世話をしてくれてありがとう」
「い、いいえ!とんでもないです!!」
響子さんて言うんだ…顔だけじゃなくて、名前も綺麗だな。
それにすごく優しく笑う人…凌哉くんに笑い方が似てる……
「沙世…ちゃん…」
すると、響子さんの後ろから気まずそうに顔を出す妃華ちゃん。
ケーキ屋さんパシリにさせられたからちょっと気分悪いけど、ここは挨拶はちゃんとしないとね。
「妃華ちゃん久しぶ…」
「妃華っ…てめぇ…」
え…
凌哉くんは土足のまま家に足を踏み入れ、いきなり妃華ちゃんの腕を思いっきり掴んだ。
「凌くんっ…やめて!」
響子さんがとっさに凌哉くんを止めに入る。
「凌哉くんっ…」
訳が分らないが、私はくつを脱いで家に入り凌哉くんの腕を掴んだ。
「ふざけんな妃華っ!てめぇそんな奴だったのかよ…」
ものすごく怖い声で言う凌哉くん。私と響子さんは、顔を見合わせながら必死で凌哉くんを止める。