「それは私に友達が一人もいないからよ」 楓は自分を卑下するような言い方をせずに、ハッキリとそう言った。 「どうして?」 「知らないわ。みんな近寄ってこないの」 時雨は顎に手を当てふ~んと唸った。 「まぁ、約束をするのに訳なんて関係ないからね。いいよ、友達になろう」 時雨は握手を求めるように手を差し出し、仄かに微笑んでいた。