「あ、ありがとう……」


楓はそう言ってクレープを受け取った。


「んじゃ、どこか座れる所を探そっか」


時雨はキョロキョロと辺りを見回し、近くの公園に空いているベンチを見つける。


「楓、あそこに座ろう」

時雨は楓の手を取り、公園まで手を繋いで歩く。

「ちょ、時雨くん!?」

楓は掴まれた手に驚きの声を上げる。


「いいじゃん。こういうこともたまには」


時雨自身、心臓はバクバクと騒いでいるが構うものかと公園まで手を離さなかった。