「ごめんなさい」


楓は時雨に深々と頭を下げて来た。


「何で楓が謝るの?」


突然頭を下げた楓の行動が分からず、訊ねた。


「だって私の所為で時雨くんに迷惑を……」


楓は小さくなるようにしょんぼりと俯く。


「あー、さっきのあれか。
気にしない気にしない。別にこれは楓の所為じゃないよ。大丈夫」


「でも……」


なおも言い募ろうとする楓を時雨は手で制する。

「いいんだよ。その内、みんな飽きるって。
だから大丈夫」