夕日に照らされた楓の姿はとても綺麗で、今までに見たことがないくらい可愛かった。 だが、そのときの感情が果たして恋と呼んでいいものなのかが分からなかった。 時雨は屋上へ上がる階段を登る間、ずっと無言だった。 とっくの昔に誰かが開けたままの重い扉を押して屋上へ入る。 ゴォと強い風が時雨と光に吹いてくる。 髪や制服がバサバサとなびいた。 風はすぐにやみ、柔らかい風が吹き出した。