時雨はそれを静かに聞いていた。


「私はそのとき友達なんかいなかったの。


周りはみんな、言い方が偉そう、睨んでくる、そう言ってた。


私は全くそんなつもりはないの。


でも、みんなからはそう見えるみたいで、友達になってくれる人なんていなかった……」


時雨の、楓に対する第一印象は、「堂々とした人」だった。


ハキハキと喋り、周りを気にしない強い人、という印象だった。


しかし今、時雨の目の前にいるのは力無く俯き、悲しみを打ち明けている少女にしか見えない。


楓は今まで、他人からの第一印象で判断され浮いた存在だったのだろう。